睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法ついて
【CPAP治療(Continuous positive airway pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)】
CPAP治療とは、睡眠中に鼻に当てるマスクを装着し、CPAP本体から空気を送ることで気道の閉塞を防ぎ、睡眠中の無呼吸を改善する治療法で、重症の睡眠時無呼吸症候群を改善するのに最も適した治療法です。
マスクを装着すると「眠りにくそう」と感じられるかもしれませんが、実際に使用された患者様からは翌日から「ぐっすり眠れた」「すっきり目が覚めた」というお声も多くいただいております。
<CPAP治療のメリット> こんな効果が!
効果が見られるのが比較的早く、装着したその日から改善が期待できる
眠気が改善することで、集中力や記憶力がアップし活動性が上がる
低酸素、高炭酸ガス血症によって起きていた起床時の頭痛が改善
高血圧、不整脈、糖尿病などの生活習慣病の改善、予防ができる
出張や旅行にも持ち運びが可能なので、外出先でも継続して治療が可能
治療は保険適用である
CPAP治療の流れ
- 治療開始
当院を受診していただき、CPAP治療を開始することになったら、患者様の症状に合わせてCPAPの空気を送り込む力を調節し、患者様にマスクの装着方法などCPAPの使用上の注意をご説明します。 - ご自宅にてCPAP治療開始
事前に日頃の使い方、メンテナンスの仕方などをご説明致します。
毎日CPAPを装着して就寝していただきます。 - 毎月1回の診断
毎月1回、CPAPが正しく装着されているかなど診断する必要がありますので、通院していただきます。
CPAPを装着したその日からSASの症状が解消されるため、スッキリした目覚めにより日中の眠気もなくなり継続治療を続けることで睡眠の質の向上、血圧低下などの効果が期待できます。
最近、いびきや日中の眠気、熟睡できず疲れもとれないなど感じることがございましたら、まずは気軽にご相談ください。患者様が快適な睡眠を送れるよう願っております。
費用について
当院で実施する簡易検査・CPAP治療は保険適用となります。
- 検査
- 初診・3割負担の場合
約¥5,000~6,000
内視鏡検査・簡易検査・診断料など - CPAP治療
- 3割負担の場合
ひと月あたり約¥5,000
管理料・診断料など
手術治療
- ⅰ)口蓋垂・軟口蓋・咽頭形成術
口蓋扁桃摘出術と組み合わせて行われることも多いですが、効果が不十分な例や合併症の問題があり、以前と比べると行われなくなっています。
-
34歳 男性
口蓋垂が長く、口蓋扁桃(★印)が肥大 -
鼻からのファイバーで上から見てもほとんど塞がっています。
手術後の所見です。 口蓋扁桃を摘出し、口蓋垂も切除してあります。
手術後SAS改善し、昼間の眠気、いびきが改善。
「普通の人はこういう呼吸しているんですね」という言葉が印象的でした
- ⅱ)アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術
小児においては、この手術で多くの例が改善されます。
- ⅲ)鼻腔手術
鼻の通りを改善させるために行いますが、鼻の手術だけでSASが改善することは難しく、CPAP治療や口腔内装置治療を快適に続けていくために行うことが多いです。- 鼻中隔矯正術
- 下甲介粘膜焼灼術、切除術
- 鼻茸(ポリープ)摘出術
- 内視鏡下鼻副鼻腔手術
*下甲介粘膜焼灼術は当院で行いますが、それ以外の手術治療に関しては関連病院へご紹介させて頂きます。
口腔内装置治療
下顎を前方に移動させた位置でのマウスピースを装着し毎晩就寝して頂きます。
小顎、下顎後退、比較的軽症なSASの方が良い適応となります。
マウスピースは歯科・口腔外科などで作成して頂きます。
睡眠体位
側臥位(横向き)で寝ることで息の通り道が広くなるので、背中に枕などを入れて仰臥位(仰向け)にならないような体位で寝るとSASが軽減されます。
どうしても仰臥位(仰向け)でないと眠れない方は枕を首の下に入れて、頚部伸展位で寝ることで改善する場合もあります。
体重コントロール・減量
BMIが25以上の肥満傾向の方は、体重を10%減らすことを目安に行ってください。
減量後に再度SASを評価することは重要です。